【農場レポート】「水耕栽培で極上メロンは作れるか」ブランド化へ向けた4年間の葛藤と挑戦 

2026/08/07 農業・養殖事業

【今回の主役:浅岡農場長】
当社の農業事業を初期から支え、高品質な野菜づくりを追求し続ける現場の責任者。学生時代に学んだ農業知識と現場で培った独自のノウハウを武器に、2022年より前例の少ない「メロンの水耕栽培」という難関プロジェクトに挑んでいます

当社農場で2022年から始まったメロンの栽培プロジェクト。一般的には「土」で育てるのが常識とされるメロンを、あえて「水耕栽培」で挑むという全国的にも珍しい取り組みです。今回は、当社のメロン栽培の挑戦劇について、責任者である浅岡農場長に詳しく取材を行いました。失敗と成功を繰り返しながら、一歩ずつ理想の味へと近づいている現場のリアルな声をお届けいたします。

始まりは「異常気象」への危機感。トマト農家が挑んだ新たな可能性。「水耕でも、高級メロンに負けない味ができる」

―― 当社でメロンの栽培が始まったのは2022年とのことですが、そもそもなぜメロンだったのでしょうか?

浅岡:一番のきっかけは、近年の異常気象です。夏場の記録的な猛暑により、主力であるトマトの通年栽培が年々厳しくなっていました。「この夏の暑さの影響を受けずに栽培・収穫ができ、さらにしっかりとブランド化できる品目はないか」と模索した結果、たどり着いたのがメロンでした。

実は学生時代にメロン栽培を少し学んでいたこともあり、その経験と最新の情報、そして顧問のアドバイスを頼りに、まずは2022年にトマトの横で20〜30玉ほど試しに植えてみたのがすべてのスタートです。

―― 最初のテスト栽培の成果はいかがでしたか?

浅岡:正直、自分たちでも驚くほど美味しいメロンができたんです。比較のためにデパ地下で売られているような最高級の贈答用メロンや、大手スーパーのブランドメロンを買ってきて食べ比べ(食味比較)を行いました。

その結果、「有名ブランドの高級メロンと比べても全く引けを取らない、むしろこちらの方が美味しいかもしれない」という手応えを得ることができました。これならいける!と可能性を確信した瞬間でしたね。

前例なき「水耕栽培」でのメロンづくり。立ちはだかる“水と管理”の壁

―― メロンといえば栽培が非常に難しいイメージがありますが、特に大変なポイントはどこですか?

浅岡:メロン栽培は「1株につき1玉」しか作れない一発勝負です。しかも、通常は土で育てるメロンを、うちは「水耕栽培」で育てています。メロン品種の担当者の方からも「水耕でメロンをやっている話は聞いたことがないな……」と言われるほど、全国的にも非常に珍しい挑戦なんです。

水耕栽培はゲリラ豪雨などの天候(災害)に左右されにくいという大きなメリットがある反面、水の管理が極めてシビアです。水をあげすぎると身は大きくなりますが、味が水っぽく薄くなってしまう。甘さと香りを凝縮させるための「水と肥料を限界まで絞るマニュアル」が世の中に存在しないため、自分たちで一からデータを蓄積していくしかありませんでした。

―― 2023年以降は規模を拡大されましたが、スムーズにはいかなかったのでしょうか?

浅岡:2023年にハウスの半分まで規模を広げたのですが、ここで大きな失敗を経験しました。メロンは成長に合わせて「誘引(紐に結びつける)」「芽かき(脇芽を摘んで栄養を身に集中させる)」「摘芯」といった細かい管理作業が必須です。規模が大きくなったことで作業が追いつかず、きれいなネット(網目)が出ず、食味も納得のいくものになりませんでした。

一時期は「収穫前に糖度が全く乗っていない夢」を見て飛び起きるほど追い詰められましたね(笑)。

試行錯誤の4年間。糖度14〜16度を叩き出すまでに成長

―― その失敗をどのように乗り越えてきたのでしょうか?

浅岡:管理作業の遅れが味に直結することを痛感し、2024年からは作業管理を徹底的に見直しました。その結果、目標としていた「糖度14〜16度」の安定した高品質なメロンが収穫できるようになりました。

現在使っている品種は、洗練された味わいが特徴の「ハピネス」と「カスタネット」。味重視で選んだ品種です。親戚やお世話になった方にお盆の時期に贈ったところ、「本当に美味しい!」と絶賛してもらえた時は、この仕事をやっていて一番嬉しかったですね。

現在は直売所や一部市場、大手スーパーさんにも出荷を広げており、食べた方からは非常に高い評価をいただいています。

「まだ完成度は50点」日々改善

―― 現在の出来栄えを100点満点で表すと、何点くらいですか?

浅岡:正直に言って、まだ50点(半分)だと思っています。

水耕栽培における水と肥料のコントロール、そして外虫(コナジラミ等)の対策など、まだまだクオリティを高められる伸び代があります。目標は「糖度16度が当たり前、更には18度を超えるような極上メロン」です。水耕栽培ならではのマニュアルを完璧にブラッシュアップし、誰に贈っても絶対に喜ばれる『揺るぎないブランドメロン』として確立させたいと考えています。

―― 最後に、ホームページをご覧の皆様へメッセージをお願いします!

浅岡:当社のメロンはまだ完成の途上にありますが、数々の失敗を乗り越え、年々確実に美味しさと品質を高めております。
最高級ブランドにも決して引けを取らない「芳醇な香りと極上の甘み」を全国の皆様にお届けできるよう、妥協のないものづくりを続けてまいります。今後の成長にもぜひご期待ください!

◆直売所「東郷ファーム」
〒470-0151 愛知県愛知郡東郷町諸輪仲田12−1
営業時間:9:30~15:00
定休日:日曜日(月~土の祝日は営業しています)
※お盆期間中も元気に営業しておりますので、是非お越しください🍈🍈🍈