モビリティ事業 戦略本部 取締役 髙木学

中古車の情報開示への飽くなき挑戦
新車とは違い中古車の購入には、消費者が信頼と安心できる情報(コンテンツ)を届けることが必要不可欠であり、質の高い情報開示は中古車業界の発展に繋がると考えています。中古車業界における情報開示の歴史は、不透明な慣習を打破し、消費者の信頼と安心を勝ち取ろうとする「飽くなき挑戦」の連続です。創業以来48年間、「走行距離・修復歴・おとり広告・諸費用など」が問題視されるたびに情報の透明化を使命として取り組んできましたが、まだまだ現状に満足できる状態ではありません。現代の車は電動化や先進安全機能(自動ブレーキなど)をほぼ100%搭載しているため、国土交通省(国)は2024年に目視では確認できない電子制御装置の不具合を検知する「OBD検査」を義務化しました。2021年に国土交通省(国)がOBD検査の導入に先立ち実施した試験的な調査では、約4割以上の車両にて故障コードが検出されております。そこで当社は今後の中古車選びには欠かせない要素である目視では確認できない箇所の可視化と情報開示に向け、スキャンツール(故障診断機)の先駆者であるツールプラネット社のもとを訪れ、新たな挑戦をスタートさせました。

故障診断書の発行による情報開示
しかし、技術提供を受けるための交渉は一筋縄ではいきませんでした。ツールプラネット社としても、自社の核心的な技術をどう提供するか、慎重にならざるを得ない局面がありました。何年もの歳月をかけ、単なるツールの導入ではなく、当社が2016年に開始した「ID車両(コンデイションチェックシートの開示)」同等に消費者へわかりやすい「故障診断書の発行」という世界観や熱意に共感を得られ、「グー故障診断機」の開発・製造がスタートしました。スキャンツールや車の構造への知識や技術が乏しい当社を伴走してくれたツールプラネット社の皆様には深く感謝申し上げます。
逆風の中で貫いた「業界の健全化」という使命
2022年10月にまずは全国約15,000件の「グーネットピット」掲載の整備工場へ点検から診断の文化醸成に向けて導入を開始しましたが、中古車業界への展開は「中古車が売れなくなる」等など否定的な意見が当初は大半で、2024年3月にようやくグーネット掲載車両への「故障診断書」表示が開始できました。大きな転換期となったのは、残念ながら皆さんも周知の通り中古車業界で数年前に消費者の信頼を揺らがす出来事でした。この業界の危機的な状況において、中古車販売店からは「消費者に信頼してもらえる根拠が欲しい」「グー故障診断を導入したい」という声が急増しました。「グー故障診断」は創業以来48年間、消費者の立場に立って業界の健全化に取り組んでいるからこそ誕生した商品サービスであり、技術者の誇りとプラットフォーマーとしての使命感が結びつき、2026年2月に診断回数100万回という大きな数字を生む原動力となりました。この100万回という数字は、消費者がどれほど透明性のある情報を求めていたかの証であり、当社にとっての責任と覚悟の重さでもあります。
広がる故障診断の未来
今後はグーネット掲載車両への「故障診断書100%表示」の実現や買取と下取時の活用に向けて、さらに商品力を高めていきます。また、ハイブリット車(HV)と電気自動車(EV)の劣化状態を可視化した電池診断。100万回の故障診断データを活かし、整備士不足という自動車の安全基盤を揺らがす深刻な社会課題の解決に向けたAI整備士エージョントの開発。そして、世界の自動車保有台数は推計約16億台(1位アメリカ・2位中国・3位日本)と分析されており、OBD(車載式故障診断装置)は世界統一基準に向けて調和が進んでいるため、グローバルな車両流通のインフラになることも目指していきます。


